2024年3月 1日

Creative Challenge

ときめく⾮常⾷ 第1回

ときめく⾮常⾷ 第1回

ときめく非常食


ごはんを⾷べる時間はわくわくしたいし、
ほかの誰かも、そうであってほしい。
つらい出来事があったのなら、
⾷事をしながらでも、前向きな気持ちになってほしい。

⾮常⾷⼤国、⽇本。
災害時の⾷の選択肢は増えた。
家庭での備蓄率は過半数を超えた。
それでもまだまだ、課題がある。
このプロジェクトでは
⾷事にまつわる「ときめく気持ち」に着⽬し、
⼼が動く⾮常⾷を考え、かたちにすることを⽬指しています。

旅先で出会う「⽇常」に惹かれる気持ちと⾮常⾷

その⼟地でしか出会えない⾷べものがある。
東京にはあらゆる⾷べものが集まるというけれど、旅に出ると、いかに限られたものにしか接していないかがわかる。様々な⼈気店や有名店が集まる東京も⼀つの地⽅都市なんだと思えてしまう豊かさが東京の外には広がっている。旅先でいただく⾷事は特別なものばかりではなく、
むしろその⼟地で暮らす⼈にとってありふれた⽣活であり、彼らの⽇常を新鮮に感じられるというのが旅先での⾷の醍醐味のように思える。

いろいろ書かずとも、実感ある⽅はきっとたくさんいらっしゃいますね。
今回は「ときめく⾮常⾷」の第1回ということで、まずは少しだけ企画のご説明を。
冒頭でも書いたように、⽇本には様々な種類の⾮常⾷があります。好みや⽣活スタイルによって⾃分に合うものを選べるようになりました。⼀⽅でたびたび震災が起きても、それでもまだ備えていない⼈がいるのも事実です。⾮常⾷は機能性が重視されたり、災害時に⾷べる⾷べものという側⾯から、⾮常⾷そのものを楽しむことについては、これまで多くの会話はなされていません。そこで平時の⾷事をする時の「ときめく気持ち」に着⽬し、備えていない⼈も備えている⼈も⼼が動く⾮常⾷をつくってみたいと思いました。
⾷事をする時のポジティブな気持ちに向き合い、新しい⾮常⾷を考えてみます。数回に渡り、毎回異なるテーマを掲げてお届けする予定です。

今回ご紹介するのは「旅する⾮常⾷ 世界のモーニングシリーズ」。
⼈は同じ場所にとどまったり、変わり映えしない時間を繰り返したりするのが苦⼿です。災害がひとたび起きれば避難所で過ごす以外にも、⾃宅で待機する場合もありえます。思うように⾏動できない時に備えた⾮常⾷として、時間や場所から解放されるような、気分転換できる⾮常⾷があってもよいのではないか、と考えました。現在地からもっとも遠い場所へ⼼が移動できるよう、異国の⼟地の「⽇常」の⾷事をテーマにして⾮常⾷を考えました。

Prototype 01
旅する⾮常⾷ 世界のモーニングシリーズ


-なぜ朝⾷なの?
⾷事に励まされるように気持ちが晴れることがあります。⼀⽇に数回訪れる⾷事の時間のうち、⼀⽇のはじまりにそんな瞬間をつくりたいと思いました。朝⾷は地域性が豊かで、⾷べられている⾷事の当たり前は⽂化によって異なります。知らない⼟地の⽇常を知ると、別の場所で別の⽇常を送る⼈がいるのだと想像しやすいものです。 ⾷べながら想像しているうちに、気持ちだけでも今‧ここではないどこかへ⾏って、⼼のガス抜きができるのではないかと考えました。

-どんなモーニングが⾷べられるの?
世界各国の朝ごはんの中から、⾮常⾷としてパッケージングできるメニューを選びます。よく知られたメニューのほか、国名やメニュー名から想像しにくい、⽇本ではマイナーな朝⾷も含めてシリーズにしたいです。
たとえば「イギリスのモーニング」と⾔われれば、⽇本でもイングリッシュブレックファストと呼ばれているだけあって、なんとなくイメージできますね。⼀⽅、国名は知っているけれど、⾷べられている朝⾷までは知らない国も意外とあるのではないでしょうか。ちなみに韓国では朝ごはんにお粥を⾷べるんだそうで、「チュッ」という名前なんだとか。韓国グルメの中でも⼀般的に知られていない⽅ですが、そんなかわいらしい響きが朝からいろんなおうちでかわされているのか…とか、韓国のお粥にはどんな具材が⼊っているんだろう…などと、気付かぬうちに思いを巡らせやすいのが、知られざる朝⾷を選ぶ理由です。

-⾮常⾷って、まずは命を守るための⾷事なのでは?
もちろん、命をつなぐために⾮常⾷があるのだと思います。
ただしそれは従来の⾮常⾷が役割を担えます。私たちがこの⾮常⾷の⼀連のシリーズで考えているのは、危機意識からではなく⼿に取りたくなるような、新しい選択肢になるということ。また⾮常⾷を⾷べる時の気持ちに楽しい気分をつくること、この2つです。全てをこれで揃えて準備万端な状態にしてもらうのが⽬的なのではなく、この⾮常⾷を前にした時にちょっと⼼が動くものになればと願っています。


-デザインで⼯夫したことは?

開けた時のときめきを最⼤化するために、外装はシンプルにしました。開けるとそこには主⾷になる朝⾷と紙⽫が⼊っています。この紙⽫、あまり⾒慣れない柄が描いてありますね。紙⽫をメキシコの⾷器のようにデザインしました。
災害時は⽔を確保するのが困難になります。限りある⽔は飲むことを優先し、お⽫を洗うために使うのは後回しにしたくなるでしょう。そのためラップなどで紙⽫をカバーして繰り返し使うことが推奨されています。だから、紙⽫のデザインにもこだわれればと考えました。ここではメキシコの朝⾷の定番「チラキレス」にあわせて、お⽫に伝統的な模様を描いています。


-いろんな国の⾷事が楽しめそうだけれど、海外にも⾮常⾷ってあるの?

海外にもあります。ですが、調べたところだと⽇本ほど多様な種類を展開していないようでした。
⼿軽につくれたり、賞味期限が⻑かったりするものだと、キャンプ⽤や軍⽤に作られているのを多く⾒かけますね。ちなみに⽇本ではお⽶にパン、麺類といった主⾷、野菜がとれるおかず類、クッキーなどのお菓⼦というふうに様々な⾮常⾷があって、東⽇本⼤震災以降、多くの⾷品会社が⾮常⾷のジャンルに取り組んでいます。スーパーやチェーン店で⾒かける、⾷べ慣れた味も⼈気です。海外から訪れる⼈の視点で考えると、きっと⽇本の⾮常⾷は珍しいものなんだと思います。今回着⽬した点と異なりますが、⽇本に旅⾏に来た⼈や、移住した⼈も災害に遭うかもしれないことを考えると、もしもの場合でも安⼼してもらえるような⾮常⾷として、⽇本で馴染みのあるメニュー以外でも需要が出てくるのかもしれません。


知らない⼟地で営まれている⽇常に着⽬し、「朝⾷のときめき」をつくる⾮常⾷でした。
次回は別の視点から「ときめく⾮常⾷」を考えてみたいと思います。


編集後記
年始に能登地方を震源とする大きな地震がありました。
2023年春からプロジェクトを進めてきて、公開間近のことでした。
プロジェクトのあり方を話し合い、様々な考えが巡りましたが、
「ときめく非常食」では、心を動かす非常食について考え、
プロトタイプをつくるにあたっては、これまで震災を経験した方のご意見も伺い、
手に取りたくなる可能性を探っていきたいと思っています。
この記事を通じて、非常食について考えるきっかけになれれば幸いです。
一日も早い、被災地の復興を願っています。




興味をお持ちになった⽅へ

ここでご紹介した⾮常⾷は、アイデアを具体的に⾒えるようにしたもので、
まだ実現には⾄っていません。
私たちはフィジビリティに強い会社や団体を探しています。
興味を持たれた⽅は、ぜひ⼀緒にかたちにしてみませんか。

お問い合わせはこちらからお願いいたします。



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