新型コロナの流行により、過去の遺産となっていた「ドライブインシアター」が、ソーシャルディスタンスを保ったまま楽しめる映画館として、再び注目を集めています。サウンドシステムが貸し出され、映画クオリティの音質を楽しめたり、アプリを介して食べ物や飲み物を注文できたりと、技術的な側面での進化も見られるようですが、注目したいのは、体験面での進化です。
例えば、プラハでは「ダークナイト」や新作のホラー映画を廃墟のような場所で上映し、ドライブインシアターならではの場所性を存分に活かした体験を提供。また、ドイツではロックバンドのコンサートを行ったり、フロリダでは世界初の「ドライブインスタントショー」を行うなど、映画をより盛り上げる企画を付加して、お客さんを楽しませています。さらには、エンタメ性の追求だけでなく、「テスラの電気自動車を持っている人だけが参加できるカーボンニュートラルな上映会」など、サステナブルなものまで現れています。
“ソーシャルディスタンスが保てる”ということがリバイバルの起点ではありますが、それだけでは、“映画館のとりあえずの代替品”に過ぎません。先にあげた事例は、新しい体験を加えることで、映画鑑賞というよりも、映画を軸としたイベントとして成功しているように思います。「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ」という言葉がありますが、コロナ禍のドライブインシアターは、まさしく過去の遺産を上手く使った企画として、さらにスケールしていくかもしれません。
Source:Stylus(https://www.stylus.com/)
大学院で建築学専攻を修了後、主にリアルコミュニケーションの企画〜制作業務に従事。その後、リアル、WEB等、メディアを問わず、幅広くプロモーションプランニングを経験。コンセプトワークから、現場で人を動かすまで、一貫したプランニングを行う。