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デジタル

デジタルの広告文は誰が考えるべき?Webマーケターのジレンマ

2019年の日本の広告費が発表された。

インターネット広告費が初めてテレビを抜いたというニュースが駆け巡っている。

何も驚くことではない。

今や、インターネットは新時代のメディアではなく【時代の中心】だということのエビデンスにすぎないのだから。

インターネットが主流となった現代、その激流のド真ん中を奔走するのがWebマーケターである。

Webマーケターとして日々業務をする中で、最近特に感じることがある。

それは、デジタルの広告文は誰が考えるべきか。ということだ。

デジタルの広告文とは、検索連動型広告のタイトルや説明文、SNS広告のインフィードなど、ここではテキスト広告のことを指す。様々なフォーマットが存在するデジタル広告において、デジタルの広告文を考えることは、今や必須業務のひとつ。

このデジタルの広告文は、いったい誰が考えるべきなのか。
広告にまつわる文章だから“コピーライター”?それとも、クライアントニーズを一番把握している “営業”?ウェブメディアに詳しいプランナー?もしくはメディア?広告主??

広告会社の中の人たちなら、一度は考えたことがある疑問だろう。突然自分に依頼されて「自分の業務ではない」と反発した経験がある人もいるのではないだろうか。

ケース バイ ケース と言ってしまえばそれまでだが、この記事では、あえてそこに切り込み、最適解をあげてみたい。

デジタルの広告文は、Webマーケターが考えるべき。

結論から言えば、デジタルの広告文を考えるべき人は、ずばり『Webマーケター』である。

「Webマーケターってどの部署?」「うちの会社でいうと誰だ?」「少なくとも自分ではないな!」と思う方もいるだろうが、それを解いていくために、まずはデジタルの広告文を考えるポイントを具体的に挙げてみたい。

デジタルの広告文を考えるポイント①:媒体の入稿規定

デジタルの広告文を考えるには、まずは出稿する媒体の入稿規定を把握する必要がある。

文字数制限や、使用できない記号一覧、オプション機能の活用有無など、これらは媒体の入稿規定にあたる必須確認事項。さらに媒体よって異なるから注意が必要だ。

例えば、検索連動型広告の場合、Yahoo!ではタイトル文で感嘆符が使えるのに対し、Googleでは使えない。説明文の文字数上限もその2媒体では異なるといった具合に。

また、媒体の入稿規定はアップデートが不定期にある。日々最新の情報をキャッチアップしておく必要があるのも忘れてはならない。

デジタルの広告文を考えるポイント②:情報の伝え方

デジタルの広告文を考える上で、ターゲットユーザーにきちんと届くメッセージになっているかどうかも重要である。

ここで言いたいのは、【文章力】の話ではなく、【情報の伝え方】が重要ということだ。

例えば、1995年に話題となった「芸能人は○が命」といった歯磨き剤のコピー。
テレビCMでは広く認知をとるのに有効なキャッチーさがあった。ただ、歯磨き剤の成分を知りたい人がGoogleで「歯磨き剤 成分」で検索したときに[芸能人は○が命]という広告文と[○%成分配合の歯磨き剤が登場]という広告文では、どちらをクリックしたくなるかというと、話は変わる。

マーケティングファイルが細分化されているデジタル上では、【文章力】よりもターゲットに合わせた【情報の伝え方】が重要なのである。

検索連動型広告の場合、検索される戦略キーワードとLP(主にファーストビュー)の内容をベースに、ターゲットのマーケティングファネルに応じて、広告文を考える必要がある。
ユーザーは広告文を見て興味を持ちクリックするため、広告文とLPの内容にズレがあると、せっかくクリックさせてもLPからすぐに離脱してしまい、コンバージョンにつながらない。

もっと言えば、レスポンシブ広告やインフィード広告の場合、そのバナーデザインとセットで表示されることまで考慮して、テキスト文をつくる必要がある。

デジタルの広告文を考えるポイント③ : 効果検証

最後に、デジタルの広告文を考える上で最重要といってもいいポイントは、効果検証できるかどうかである。

そのテキスト広告の表現一つで、CTRが変わり、CVRに影響を及ぼす。

情報の伝え方が重要ということを述べたが、それでも出稿してみないと何が正解なのかは分からない。そのためには、効果検証できるようにあらかじめ複数本の広告文を設計しておく必要がある。そして、A/Bテストを繰り返し、数値を見て広告文を入れ替え、作り替えていく。そういった運用こそが、広告パフォーマンスを最大化させる手段なのだ。

ただし、ブランディング目的や、短期キャンペーンのときは、必ずしもA/Bテストが必要でない場合もある。

以上に見られるように、デジタルの広告文を考えるには、とにかく知っておかなければならないデジタル基礎知識と経験がものをいう。言い換えれば、基礎知識と経験さえあれば、営業であれ、プランナーであれ、部署を問わず誰もが対応できる業務である。誰もが「Webマーケター」への一歩を踏み出せるのである。

Webマーケターのジレンマ

もちろんWebマーケターの仕事はデジタルの広告文を作ることだけではない。SEOやLPO、デジタル広告の設計やアクセス解析、コンテンツマーケティングなど、多岐にわたる。

そして、その業務の全ては数値で詳らかに結果が出るシビアな世界だ。例えば「広告を見た〇%がCVに貢献し、獲得単価は〇円で費用対効果は前年比〇%上昇した」といった具合だ。そこにこそWebマーケターとしての厳しさとやり甲斐があり、次はより良い結果を出そうとプランニングを緻密に行い、日々の調整と効果測定を繰り返し、クライアントと課題を共有するための分かりやすいレポートを作成し、次プランを提案する。

数字ではっきりと結果が見えるからこそ、任された業務は高い次元で実現したいと奮闘するのだ。

一方で、業界全体のリソース不足は深刻である。
インターネット広告費の伸長と比例してWebマーケターの市場価値は急激に高まっているが、目の前に山積した業務に追われ、人材育成の時間を十分に確保できていないためだ。
何も分からない後輩に「まあ、わからないなりにやってみてよ」と任せるのは、数値で結果が出るという特性上リスクが大きく、十分なフォローアップ体制が必要である。フォローアップができない以上は、自分が責任をもって業務を全うするより他ない。

その結果さらに業務は増え、人材育成など日々の業務優先順位の圏外に追いやられていく。「自社のWebマーケティング力のボトムアップには、人材育成が不可欠」と分かっていても、「このままでは“後輩に任せてちょっとラクする”などという時間は一生来ない」と分かっていても、だ。このジレンマは多くの現役Webマーケターが切に感じていることだと思う。

最後に

ここで多くの広告人に伝えたいのは、まずは自分で広告文を作ってみてほしいということだ。
デジタルの広告文は誰が考えるべきか。その最適解は、Webマーケターである。しかしそれは部署の話ではない。

営業でも、コピーライターでも、プランナーでも、メディアでも、広告主でも、関係ない。たとえWebの知識がないとしても、広告業界に入りたてでない限りはこれまでの経験則や勘でカバーできる部分がある。
今こそ、誰しもがWebマーケターとして活躍できる時代だろう。

誰しもが、デジタルの基礎知識をつけ、まずはやってみる。
Webマーケターとして考えて行動することが、今のインターネット主流時代に求められる人材なのだから。

「デジタルの広告文を考えることから、Webマーケターをはじめよう。」

この記事により、Webマーケターのジレンマがなくなることを切に願う。

PROFILE

デジタルマーケティンググループ マネージャー / 宣伝会議セミナー講師

2008年、総合広告代理店入社。デジタル案件を中心にアカウントプランナーとして様々なナショナルクライアントを担当。現在は、Webマーケターとして最新のアドテク、メディアを活用しつつ、型に捉われない新たなソリューション提案を得意とする。2017年~宣伝会議セミナー講師としてデジタル集客手法について講演中。「上級ウェブ解析士」資格保持。