MOTIVATION NOTE
クリエイター

やめられない、止まらない バックパッカー♪

バックパッカーという生き方

僕のルーツはバックパッカーで、今まで旅した国はたぶん世界50カ国以上。という話をすると、「えっ?」と驚かれることが多い。根性があるように見えないのか、はたまた、もうちょいスマートな人に見えるのか、理由はわからない。しかし、バンコクのカオサンロード、カルカッタのサダルストリート、デリーのメインバザール、カトマンズのタメル、ホーチミンのファングーラオなど世界の名だたる安宿街で1泊300円(桁間違いではない)から週百円程度のドミトリーに寝泊まりし、学生時代から世界を渡り歩いてきたガチのバックパッカーであり、そんなDNAに誇りを持って生きてきた僕にとって、そのオーラを普段の生活で醸し出せていないのは、ちょっとがっかりするところではある。

もしかしたら、結婚してからというもの、妻の好みとのバランスを考えて、ハワイやグアム、ヨーロッパなど、先進国やリゾートにもちらほら訪れ、快適な旅行を満喫しているのも、その要因なのかもしれない。時々、リゾート地からバカンスな写真をfacebookをあげると、昔の僕を知ってる友人から「お前、どうしちゃったの?」「芸風変わった?」などという辛辣なコメントを頂戴する(笑)。ま、何れにしても、日常では得られない「刺激」を求めて、年に何度かは海外を訪れるというスタイルは、社会人になってからずっと変わっていない。人からは「よくそんなに休めるね」と言われるが、休めるのではない、必要だから休むのである。それが、僕の生き方。

最近ハマっているクルーズ旅

そんな僕が、最近、妙に気に入っているのが、クルーズ旅などの船旅。2017年に苫小牧にフェリーで渡り、北海道をクルマで一周してきた旅を皮切りに、2018年にはバルセロナ発の1週間の地中海クルーズ、2019年にはベネチア発の1週間のエーゲ海クルーズと、船での旅を選択している。ちなみに、そんなに金持ってるのかよ、と思われそうなので、補足しておくと、ヨーロッパの発着地までは、アシアナ航空、アエロフロート、エアチャイナなど乗り継ぎ便の安い航空券を半年以上前から予約しているので、考えられうる底値で確保できているのである。なおかつ、7日間のクルーズ旅行は、部屋のタイプにもよるが、飲食代までほぼオールインクルーシブで1人10万から15万円。宿泊代が高いヨーロッパでアゴ足まくらがついてこの値段は破格なのだ。

話が脱線したので元に戻すと、なぜ船旅が気に入っているのかであるが、船は、海上を航行するため、ご存知の通り、電波が入らない。電波が入らないということは、やることがないのだ。あなたの一日の行動を振り返ってみてほしい。手の届くところにスマホを置いてない時間って、どれだけあるだろうか。きっと起きている時間のうち90%以上は、スマホに依存しているのではないだろうか。友達からメールが来てないか、LINEが入ってないか、facebookやインスタを無意識にチェックしたり、はたまたちょっと気になったことは検索したり。仕事だってそう。僕らは企画を考えるときに、世の中にヒントが落ちてないか検索をよくする。調べることで、脳に刺激を与えようとするのだ。要するに、こういうことが一切できないのが船旅なのだ。もちろん、寄港地に近づけば、電波は入る。でも、逆に、終日航海というスケジュールも結構あり、そういうときには、スマホは不要なものとなる。想像してみてほしい。1日中、スマホと離れ離れの日を。

デジタルが生み出す弊害

スマホのない生活なんてあり得ない、とあなたは言うかもしれない。そんな方にこそ、試しにそういう状況を作ってみたらどうですか?と提案したいのだ。つまり、「たまにはデジタルデトックスをやってみませんか」ということ。思えば、インターネットが世の中に出回る前は、僕らの仕事は、自分の頭の中の引き出しが全てだった。頭の中をフル稼働させて、また、想像力を働かせて、企画を考えた。最近は、どうだろう?検索すれば、TVCFだってYouTubeに上がっている。面白いことは、一般人が投稿して画像も出回っている。検索が上手い人、検索結果を再加工する能力が、クリエイティビティなのかと勘違いしてしまう。旅行だってそうだ。例えば、僕が南米のペルーを1ヶ月くらいかけて一周していた1990年ごろ、ガイドブックとして存在していたのは、ご存知、地球の歩き方「南米」というもの。あの広い南米が1冊になってしまっていて、ペルーの情報なんてほんの一握り。旅するにも、移動手段もろくに出てない。数百円で泊まれる宿なんて、もちろん紹介されていない。

僕は、何にも情報がない中で、片言のスペイン語で旅をしてきた。もっと言うと、当時はフジモリ大統領が当選した直後で、反政府組織の活動が活発化して日本人はテロに遭いやすいとか、そんな噂は耳にするが、どこが安全なのか、どこにゲリラが出没しやすいのか、正確な情報は全く入ってこないため、死と隣り合わせで旅を続けていた。今はどうだろう。Googleマップのストリートビューを使えば、日本にいながらも、そこがどんな雰囲気の街で、どんな場所であるかが、ピンポイントでわかる。ホテルは事前に自分のイメージに合うかどうかを調べ上げ、日本から予約していけばいい。もしくは、現地でも簡単にネットで予約できる。食事だって、どのレストランが評判が良くて、どんなメニューがあるのか、事前に全てわかる。バスや列車のスケジュールだって、全部わかるから、ルートを組んでいけば、困ることはなにひとつない。別に、そういう旅もあってもいい。世の中が便利であることに、反論するつもりもない。だが、なんか予定調和すぎて、感動や驚きが少ないように感じるのは、僕だけであろうか。

想像力が人を強くする

広告だって、同じではないだろうか。「この企画って、なんかどっかで既視感あるよね。」これだけ情報が氾濫し、いろんなコンテンツに囲まれて生きていると、そんな状況は頻繁に起こりうる。それもそのはず、提案する側の我々も、提案を受ける側のクライアントさんも、似たようなものを見て生きているのだから。だからこそ、やっぱり広告って、ジャンプが大切なのだと思う。ターゲットがどんな人たちで、なにを考えていて、そんな人になにを伝えれば、心が動くのか。答えがない中で、考えて、考えて、考え抜いて、「そうきたか!」と思ってもらえるアイデアを生み出すために試行錯誤する。想像力をフル回転させて、手垢のついていない企画を、探して、探して、探しまくる。そう、商品を持たない広告会社って、想像力、発想力こそが、一番の武器なのだから。

でも、デジタルにばっかり頼っていると、こうした想像力を養う力が、なんか失われてしまうように思えてならないのだ。今、我々の周りを見渡すと、デジタルに強い広告会社は、山ほどある。フロンテッジがデジタルを語るのも悪くないが、この会社は、もともとは、人が資本の会社だ。だったら、ひとりひとりが、想像力を膨らませる鍛錬を、もっともっとやるべきではないだろうか、と感じている。そして、その1つのきっかけとして、僕はクルーズ旅をお勧めしたい。ちょうどここ数年、クルーズ旅行ブームが来ており、探せば、2泊、3泊の旅も意外と簡単に見つかる。

では、よい船旅を。デジタルデトックスは、きっとあなたの人間力を強くしてくれるはずです。

PROFILE

コピーライター

新卒でI&Sに入社、営業担当を6年間経験したのち、クリエイティブ転局試験を受けてコピーライターに。2007年にフロンテッジに移籍。営業マインドのあるクリエイターと自負している。特技は、宣伝会議賞を受賞すること。受賞歴は、日経広告賞、電通広告賞、ACC、消費者のためになった広告コンクールなど多数。